数学月間の会

SGK通信(2015-04)講演会報告:数学は世界を変えられるか?

数学は世界を変えられるか?--「忘れられた科学--数学」から10年
数学イノベーションの現状と未来

日時 2015/04/16,15:00-17:00
場所 文科省 13F1,2,3会議室
主催 文科省,科学技術・学術政策研究所,
研究振興局基礎研究振興課数学イノベーションユニット

プログラム:
1. 数学イノベーションに関する取組の紹介
2. 数学と他分野・産業との協働による研究の紹介
    「高齢化と医師不足の社会における日本の臨床医療とそれを支える数理科学の役割」
    水藤 寛(岡山大学 大学院環境生命科学研究科 教授)
    「材料・生命・情報通信と応用トポロジー」
    平岡裕章(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)准教授)
    「数学が製造現場・研究現場を変える ?数学イノベーションの可能性」
    中川淳一(新日鐵住金(株)先端技術研究所 数理科学研究部 上席主幹研究員)
3. 今後の課題や必要な方策について
モデレーター:西浦廉政(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 教授)
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科 学技術政策研究所の報告書(2006)「忘れられた科学ー数学」から10年がたちました.文科省は数学イノベーションユニットを設け取組を行ってきまし た.数学・数理科学を活用した新規なアプローチで解決に導き,新たな社会的価値や経済価値の創出につなげることを目指している.今回の講演会では,数学と他分野・産業との協同研究内容や成果の紹介3件が行われました.
参加者80名で盛況でした(片瀬・谷参加).数学と社会あるいは種々の科学研究,産業企業との協同が進んでいる.ニーズ,シーズの宝庫であり,いっそうの人材育成が必要である.

****(ここから先は個人的感想)*****
数 学は細分化し高度な数学的知識は十分に蓄積されています.異分野(社会,医学,諸科学,産業など)連携の場を活発化し,異分野の中に数学が適用できるニー ズや新しい数学を生むシーズを探すことが大事であると思います.昔は科学者自身が必要な数学も作り出す天才(ニュートンなどが例)の時代がありました.現 在でも,異分野の研究者はそこで必要な数学を苦労しながら勉強し,研究を進めている状況があります.問題から数学的命題が見えない状況もあります.数学者 側から積極的に異分野の課題を理解し,その数学的命題化に力を貸すことが必要です.複雑な現実の問題から数学の命題化を考えることが一番難しい所で,数学 者はこの段階にも積極的に関与すべきです.(sgktani)
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SGK通信(2015_02)米国MAMテーマ

2015年の米国MAMテーマ
今年の米国MAM(Maths Awareness Month,4月に実施)のテーマは
「数学はキャリアを駆動する」Math Drives Careers に決まった.

今年の目標は,数学を学ぶ学生たちに,彼らが就けるキャリアの幅の広さに気付かせることにある.ほとんど全員が,数学や統計学の数学教師や大学教授のことは良く知っているが,これが数学や統計学を勉強する学生が職業キャリアとして何ができるかについての知識の限界のようだ.
数学のキャリアは,近年マスコミで多くの注目を集めている.
実際に,企業は検索エンジンのGoogleなどように数学的概念の基礎に設立されている.
人々は,数学/統計学の仕事の訓練をどこで受けるのだろうか.“数学者”という役職はベスト職業リスト中でトップを占めている.それにもかかわらず数学の素養があると何ができるかは世間に知られていない.これだけ今日の経済が,数学,統計学,コンピューティングに依存しているにもかかわらず.
学歴のレベルはいろいろだが,学位を取ったら何ができるかと学生は質問する.
学生に対する一般的な答えは,「数学を教える」である.博士レベルの学生に対する一般的な答えは,「大学にポジションを見つけて研究を続ける」である.これらオプション双方は,確実に満足のいくキャリアにつながるが,他の多くのキャリアの選択
---数学と統計科学の訓練が活かせる---に,「現実世界の問題の解決策に影響を与える」というものがある.
数理科学の訓練を受けた人々は,企業や産業の多種多様な仕事ができる.
数学や統計学の訓練を受けた学生は,ほぼすべての事業部門でキャリアの機会がある.

*数学的モデリングおよび関連ソフトウェアの設計はますます洗練された製品や
プロセスの設計と最適化のために製造に不可欠である.
*金融・保険会社では,定量的なモデリングは,金融商品の設計モデル・リスクを推定し,処理を実行するためのプロセス開発に必要不可欠である.
*バイオテクノロジー企業では,単一の遺伝子の分析よりは,遺伝子ネットワークの解析の方が,糖尿病などの一般的な疾患の攻略進展の鍵となっている.
これは,データ・マイニング,モデリング,シミュレーションなどの定量的アプローチを必要とする.
*石油と天然ガスの抽出事業では,強化された発見と生産技術を用いて,
新しく型破りなソースを活用する能力が高生産につながる.
*様々な経済活動をまたぐ企業では,マーケティング,人事,財務,サプライチェーン管理,施設の場所,リスク管理,製品とプロセス設計などの分野で,
ビジネス・インテリジェンス(データ)と分析(定量的方法)を採用している.
*低コストで構造化および非構造化データを大量に処理し,
効果的なビジネス上の意思決定のために,関連する結論を導出するアルゴリズムの開発およびソフトウェアの必要性がある.
*製薬業界では,統計学者が設計し臨床試験を分析する.
*製造業では、彼らはリスクと品質管理を分析する,
  データ科学が産業全体で成長するにつれて,統計学者が不可欠になる.
*航空宇宙,自動車設計などの伝統的なエンジニアリング分野は,
数学に大きく依存していたし,多くの場合,彼らの技術チームの一部として
数学と計算科学の訓練を受けた人を雇用している.

今日,数理科学は,多くのキャリア領域に経路を提供し続けている.
数学,統計,コンピュータサイエンスを伴う学際的分野で, 私たちは,
データ科学の訓練を受けた人々の需要増加を目撃している.そして,
私たちの世界の定量化,デジタル化が進むほど,多くの新しい分野に数学手法が展開されていく.
映画の生産でも,アニメーションやデジタル特殊効果の増加に伴って,
数学とこの分野の訓練を受けた人たちに依存しているのだ.

数学月間2015では,アカデミックの外で成功し,やりがいのあるキャリアを発見した数理科学の学位を持つ人々のプロフィールを提供するが,これらは,数理科学の
バックグラウンドによって駆動される多様で興味深いキャリアのうちのほんのわずかな例に過ぎない.
http://www.mathaware.org/index.html
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SGK通信(2015_01)フランスの数学週間

フランスの数学週間に関する調査報告を高窪さんから頂きました.(イントロだけここに掲載)
全文のpdfはここをクリックすると読むことができます⇒フランスの数学週間
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フランスでは、文部省主催の下、フランス数学会をはじめとして、20を超える全国規模の協賛団体が、パートナーとして参加して、2012年から、毎年3 月に、日付は、不定(第11 或は12週)で、「数学週間」が執り行われています。対象は、全国の小学生から高校生まで、これら生徒の両親、そして、一般社会人です。これまで一貫した5つの目的が掲げられています。
1/ 現在の、生き生きとした、そして、人々を引き寄せる魅力的な数学を提案する。
2/ 社会人の教養と日常生活の中で、数学の果たす重要性を力強く示す。
3/ 数学が重要かつ不可欠な役割を演じている様々な職業、そして、数学と他学問(物理、化学、生命科学、環境科学、情報科学、経済学、社会学、地理学、等)との間にある豊かな結びつきを示す。
4/ 文明(西欧、アラブ、インド、中国)の歴史と、これらの文明と芸術との結びつきとの中で果たして来た数学の重要性に光を与える。
5/ 数学を実践する事に依って、数学、創作の楽しみ、そして、独創性の三者の結びつきが明らかになり、美学的(創作)感情が生まれ得ることを示す。
これらの目的に応じて、毎年、次のようなテーマが、設定されて来ました。
第1回 2012年 「女子と数学」
第2回 2013年 「惑星である地球の数学」
第3回 2014年 「さまざまな文化の交差点にある数学」
第4回 2015年 「数学は、私たちを運ぶ」
また、上記テーマに呼応して、各大学区では、大学区事務機関が、独自の講演会を開催するなどし、加えて、20を超える全国規模のパートナーの各支部が主体的に、特徴ある活動も実施しています。これらの多くは、中学生・高校生 及び 社会人に向けられています。更に、一つの大学区に限って、参加する団体もあります。 第3回 2014年の項で、パリ大学区の活動の一端を極く簡単に紹介します。
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化学の日

今日10月23日は化学の日です.化学週間はもう始まっています.
実施初年度になる今年は,「化学の日@開成学園」,「化学週間@東京大 学」,「子ども実験ショー@近畿」などのキックオフイベント,各種一般紙や月刊誌「ニュートン」,「化学」,「現代化学」,「子供の科学」などへのPR記事掲載の企画があるとのことです.「数学月間」活動もこのような取り組みをすることが必要とされます
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033_大阪大学公開講座

大阪大学理学部数学教室は,
現代数学の様相と数学研究の実際,自然科学や社会科学に及ぼす数学の影響,文化としての数学の在り方などについて,多角的な視点から易しく解説する公開講座を,高校生を対象に夏休みのこの時期に開催しています( オープンキャンパスも同日実施されます).
まさに数学月間の模範になるイベントで,毎年,杉田洋教授より情報を頂きSGKのwebに掲載しています.今年のテーマは,“多面体の不思議”でした.
2014年8月12日(火),10:00~12:00
会場:     大阪大学豊中キャンパス 理学研究科 D棟 D307教室
講師:     村井 聡(情報科学研究科情報基礎数学専攻 准教授)
毎年,興味深いテーマが選ばれ,私も参加したいと思いつつまだ参加できずにおります.今回のイベントでは受講生が殺到し,準備した教室に定員の2倍近い人(約100人)が集まり,来年は教室の選択を考える必要がありそうと伺っております.
(出席していないので以下は私の勝手な解説です)

多面体はとても古くから考えらてきた図形で、紀元前のギリシャ時代には既にその性質が調べられていました.
多面体で基本的な定理は,オイラーの定理V+F-E=2(3次元)が有名です.これを使うとプラトンの正多面体(凸多面体)が5つというのがすぐ証明できます.正多面体というのは,面が1種類の正多面体でできており,どの頂点のまわりの状態も同一なものです.正多面体の記述は,定義の本質を捉えているシュレーフリの記号を用います.正p角形が頂点にq個集まっている(同じことだが辺がq個集まっている)状態は,{p,q}と記述されます.3次元の多面体は,面が3個以上集まらないと作れませんし,面が正3角形の場合には,6個集まると平面になってしまいますので,正3角形の面をもつ凸多面体は,{3,q},q=3,4,5しかありません.q=3の場合は正4面体,q=4の場合は正8面体,q=5の場合は正20面体です.
全ての面が合同な正3角形であるが正多面体でないものまで数えると8種類になりこれらをまとめてデルタ多面体と呼びます.
1種類で空間を隙間なく充填できる正多面体は立方体だけですが,2種類の組み合わせで空間を充填できる正多面体は,正4面体と正8面体です.
結晶学では良く知られていることですが,面心格子と体心格子というのも立方体と同じ対称性を持ち,それぞれのウイグナー-ザイツ胞(デリクレ胞とも言う)は,それぞれ菱形12面体,切頂正8面体になります.数学と諸科学[科学や造形]の関わり合いで現れる多面体の性質は,非常に興味を惹く話題です.
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化学の日について

「化学の日」10月23日は,化学4団体が昨年制定しましたが,アボガドロ数6.02×10^23に因んでいます.これも米国が先でNational Mole Foundationが10月23日をMole Dayと定め盛んな活動が行われているそうです.

以下は,化学と工業,Vol67-9,2014,玉尾皓平氏(日本化学会前会長)の記事から抜粋--------

◆2年前の会長就任時に提案した2つの具体的提案を紹介します。
「全国一斉オープンキャンパス」:これが 「化学の日」と直結する提案です。各大学. 研究機関や化学企業で独自に行っているオープンキャンパスやオープンファクトリーを,「化学の日」「化学週間」にできるだけ 曰程を合わせて一斉に実施いただくことで,国民的イベントとして認知度を高めようとの取組みです。
「『夢・化学-21』の全国統一ブランド化」: 「夢・化学-21」キャンペーンの強化策として,そのロゴマークを意匠登録し,上で述ベたようなこれまでのすべての化学啓発活動にロゴマークを付してビジビリティの向上を目指すものです。

いずれもいわば全国区の活動ですが,期間限定型で集中的に盛り上げる企画と,通年活動型で全国津々浦々いつでも「夢・化学-21」ロゴマーク付きのイベントが行わ れている,という性格の異なる活動を2つ準備し,足並みをそろえて最大の効果を狙おうとする点が特徴です。提案4団体だけではなく,経済産業省や文部科学省,さらにはマスコミ関係者の賛同も得ており,産学官一体となった初めての本格的な取組みで,化学の啓発活動,市民権獲得にとっての決め手となるものと期待しています

◆「化学の日」「化学週間」のイベントは?
「化学の日」を長く定着させるためには. 活動現場に新たなロードを課さないことが 重要と考えます。新たに企画するのではな くて,現在行われているイベントの開催日 をできるだけ「化学の日」「化学週間」の 日程に合わせていただくことで.最大の効 果を上げようとの考えです。すでに,各支 部や産業界に対して,日程調整のご協力を お願いしています。
ただ,初年度の今年は,「化学の日@開成学園」「化学週間@東京大 学」「子ども実験ショー@近畿」などのキックオフイベントを企画中です。
また,各種一般紙や月刊誌「ニュートン」「化学」「現代化学」「子供の科学」などへのPR記事掲載の企画も進んでいます。
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化学の日・化学週間

「化学の日」に関する情報を数学月間応援者から頂きました:
日本化学会,化学工学会,日本化学工業協会,新化学技術推進協会の4団体が,
10月23日を「化学の日」,その日を含む月曜日から日曜日までの1週間を
「化学週間」と昨年制定しました.
早速今年は産官学一体となって,化学の普及活動が国民亭イベントとなるように
呼びかけています.数学月間でもこのような取り組みが必要です.

*今年の「化学の日」活動記事はCCI_67_787(1).pdf
イベント一例
*「化学週間」君たちの将来と化学の未来@東京大学
 http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info.html?id=4165
の高校生向きの催しの情報もあります.
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とっとりサイエンスワールド2014

◆ とっとりサイエンスワールド2014in米子,8月2日
2014年度〔西部〕は,日本数学教育学会第96回全国算数・数学教育研究(鳥取)大会
とコラボで実施されるので,会場が例年の児童文化会館とは異なるようです.
米子コンベンションセンターにて(12:00~16:00)

◆ とっとりサイエンスワールド2014in鳥取,8月31日
とりぎん会館(10:00~16:00)


◆ とっとりサイエンスワールド2014in倉吉,9月21日
未来中心(10:00~16:00)

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イベント案内

以下の情報を得ました.
◆日本フィボナッチ協会,第 12 回研究集会
日時 8月24日(日) 13:00-17:30
場所 東京海洋大学越中島校舎
会費 1000円

◆サイエンスセミナー2014in江戸川大学
江戸川大学駒木学習センター
7月25日,13:00-17:00
http://www.edogawa-u.ac.jp/news/140625.html

◆数学月間懇話会(第10回)は,7月22日に開催されました.
暑い中,ご参加された皆様有難うございました.
概要はここで紹介します.ご意見ご希望もお寄せください.
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