2015年4月の記事一覧
書評:美しい幾何学(丸善)
美しい幾何学, 丸善
高木隆司監訳
Eli Maor and Eugen Jost
ルネサンスの時代は,数学とアートの活動は協力して行われ,心の中で補い合うものと考えられていた(イーリーによるまえがきより).
オイゲンの数学的アートと数学者(数学史)イーリーの協同でできた本書は珍しい数学の本です.説明には微積分などは出てきません.子供から大人まで数学アートを鑑賞しながら読み進むことができます.テーマは系統的な幾何学とは異なります.初級の幾何学もあれば無限級数などもあります.さらに意外なテーマが現れたり変化に富みます.
取り上げられたいくつかのテーマを見てみましょう.例えば,シュタイナーの円鎖.これはアルベロスとかインドラの真珠などと呼ばれることもあります.円の中に互いに接する円を詰め込んだ美しい図形で,円による反転操作もあります.この図形は和算の算額にも登場しますが,それにも言及しているのは著者の専門が数学史だからでもあり,本書の構成にもそれが現れています.本書の前半は,ピタゴラスから始まり,素数,無限級数の収束,ユークリッドの作図などのテーマが現れます.さらに続くのは,円周率,積み木による調和級数,自然対数の底,らせんや種々の曲線などです.これらの説明も,数学アートの図が活きていて面白い本です.本書の後半には,スノーフレーク曲線,シェルペンスキーの三角形などのフラクタル図形の特徴も,美しく理解しやすい図による記述があります.sgktani
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SGK通信(2015-04)講演会報告:数学は世界を変えられるか?
数学は世界を変えられるか?--「忘れられた科学--数学」から10年
数学イノベーションの現状と未来
日時 2015/04/16,15:00-17:00
場所 文科省 13F1,2,3会議室
主催 文科省,科学技術・学術政策研究所,
研究振興局基礎研究振興課数学イノベーションユニット
プログラム:
1. 数学イノベーションに関する取組の紹介
2. 数学と他分野・産業との協働による研究の紹介
「高齢化と医師不足の社会における日本の臨床医療とそれを支える数理科学の役割」
水藤 寛(岡山大学 大学院環境生命科学研究科 教授)
「材料・生命・情報通信と応用トポロジー」
平岡裕章(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)准教授)
「数学が製造現場・研究現場を変える ?数学イノベーションの可能性」
中川淳一(新日鐵住金(株)先端技術研究所 数理科学研究部 上席主幹研究員)
3. 今後の課題や必要な方策について
モデレーター:西浦廉政(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 教授)
*****
科 学技術政策研究所の報告書(2006)「忘れられた科学ー数学」から10年がたちました.文科省は数学イノベーションユニットを設け取組を行ってきまし た.数学・数理科学を活用した新規なアプローチで解決に導き,新たな社会的価値や経済価値の創出につなげることを目指している.今回の講演会では,数学と他分野・産業との協同研究内容や成果の紹介3件が行われました.
参加者80名で盛況でした(片瀬・谷参加).数学と社会あるいは種々の科学研究,産業企業との協同が進んでいる.ニーズ,シーズの宝庫であり,いっそうの人材育成が必要である.
****(ここから先は個人的感想)*****
数 学は細分化し高度な数学的知識は十分に蓄積されています.異分野(社会,医学,諸科学,産業など)連携の場を活発化し,異分野の中に数学が適用できるニー ズや新しい数学を生むシーズを探すことが大事であると思います.昔は科学者自身が必要な数学も作り出す天才(ニュートンなどが例)の時代がありました.現 在でも,異分野の研究者はそこで必要な数学を苦労しながら勉強し,研究を進めている状況があります.問題から数学的命題が見えない状況もあります.数学者 側から積極的に異分野の課題を理解し,その数学的命題化に力を貸すことが必要です.複雑な現実の問題から数学の命題化を考えることが一番難しい所で,数学 者はこの段階にも積極的に関与すべきです.(sgktani)
数学イノベーションの現状と未来
日時 2015/04/16,15:00-17:00
場所 文科省 13F1,2,3会議室
主催 文科省,科学技術・学術政策研究所,
研究振興局基礎研究振興課数学イノベーションユニット
プログラム:
1. 数学イノベーションに関する取組の紹介
2. 数学と他分野・産業との協働による研究の紹介
「高齢化と医師不足の社会における日本の臨床医療とそれを支える数理科学の役割」
水藤 寛(岡山大学 大学院環境生命科学研究科 教授)
「材料・生命・情報通信と応用トポロジー」
平岡裕章(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)准教授)
「数学が製造現場・研究現場を変える ?数学イノベーションの可能性」
中川淳一(新日鐵住金(株)先端技術研究所 数理科学研究部 上席主幹研究員)
3. 今後の課題や必要な方策について
モデレーター:西浦廉政(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 教授)
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科 学技術政策研究所の報告書(2006)「忘れられた科学ー数学」から10年がたちました.文科省は数学イノベーションユニットを設け取組を行ってきまし た.数学・数理科学を活用した新規なアプローチで解決に導き,新たな社会的価値や経済価値の創出につなげることを目指している.今回の講演会では,数学と他分野・産業との協同研究内容や成果の紹介3件が行われました.
参加者80名で盛況でした(片瀬・谷参加).数学と社会あるいは種々の科学研究,産業企業との協同が進んでいる.ニーズ,シーズの宝庫であり,いっそうの人材育成が必要である.
****(ここから先は個人的感想)*****
数 学は細分化し高度な数学的知識は十分に蓄積されています.異分野(社会,医学,諸科学,産業など)連携の場を活発化し,異分野の中に数学が適用できるニー ズや新しい数学を生むシーズを探すことが大事であると思います.昔は科学者自身が必要な数学も作り出す天才(ニュートンなどが例)の時代がありました.現 在でも,異分野の研究者はそこで必要な数学を苦労しながら勉強し,研究を進めている状況があります.問題から数学的命題が見えない状況もあります.数学者 側から積極的に異分野の課題を理解し,その数学的命題化に力を貸すことが必要です.複雑な現実の問題から数学の命題化を考えることが一番難しい所で,数学 者はこの段階にも積極的に関与すべきです.(sgktani)
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SGK通信(2015-03)講演会情報
科学技術・学術政策研究所/研究振興局数学イノベーションユニット共催講演会「数学は世界を変えられるか? 忘れられた科学-数学から10年 数学イノベーションの現状と未来」開催の御案内
http://www.nistep.go.jp/archives/category/news/events
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